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​この世界について
◆付喪神と骨董師が綴る物語

 【付喪神】【骨董師】のいるこの世界は極めて特殊な世界です。

 付喪神は文字通り、何でもないものから神様となったのですから、ものの見方や考え方、そして秘めたる力がこれまでと大きく異なっているということに気がつくでしょう。そのような変化は骨董師にも同様のことが言えます。骨董師は人の身にして過去・現在・未来という時の流れを目視することのできる存在です。ところが彼らにはその流れに介入する力を持っていません。普通の人間ならば目的のために行動し、何かを変えることができるでしょう。それでも骨董師にはできないのです。なぜなら彼らは俗世を離れた存在…つまり、一度死んだ人間たちなのですから。

 死んだ人間の誰しもが骨董師になれるというわけではありません。彼らはみな特異な死に方をしています。例を挙げてみるならば
【神隠し(あるいは行方不明)】【原因不明の病】【未解決の猟奇事件】【儀式の生贄】といったものです。これらは人ならざる魑魅魍魎や神々、そして悪しき付喪神である虚ろなどによって引き起こされた死となります。このような死因を辿った人間は俗世から離れ、黄泉の国へと向かう途中にある【狭間の世界】にて、ある2択を迫られるのです。


 ――ひとつ、黄泉の国へと上がり転生の日を待つか。
 ――ふたつ、骨董師となりて付喪神と共にあらゆる時の流れを観測するか。


 骨董師になるということはこの狭間の世界で永遠と俗世を見続けねばなりません。
​ それは元々人間である彼らにとって過酷なことでしょう。しかし彼らは人間として、人の生きる世界を守らねばならない使命があります。かつて彼らがその身を持って体験した死の原因を、今を生きる人間たちから退けなければならないのです。時の流れを観測する中で異変を見つけた骨董師は、人との結びつきが最も深い神様である付喪神を呼び寄せ願いを捧げます。骨董師の不運な境遇を知る付喪神は異変の解決のために彼らの手を取るでしょう。

 これは、死してなお覚悟のある者(骨董師)と人の人たるところに信頼を寄せる神様(付喪神)のあくなき戦いの物語なのです。

庭園内の装飾塔
◆骨董師

 俗世にて生きていながらも骨董師となる可能性を秘めた人間たちがいます。彼らは普通の人間には見えないものが見えてたり、不思議な力をすでに備えてしまっているのです。それゆえに人らしい死に方をすることができないのかもしれません。

 素質のある者はその力を人のために使う者もいれば悪用する者もいます。また、死ぬまで無自覚なままでいる者もいます。どちらにせよ死の原因が人為らざるものであった場合、狭間の世界に引き上げられて正式な骨董師となるかどうかが決まります。

 骨董師の中には生前、悪い行いをしていた人間も少なからず存在します。よって骨董師となる人間たちは、生前の穢れを捨てるという条件を受け入れ、自身の名前以外の記憶を一切失った上で骨董師となります。

◆狭間の世界

 各骨董師が拠点としている空間のことを指します。
​ 狭間の世界は各自が管轄している時の流れを観測するための場所であり、この空間から虚ろの情報を探ったり、依頼をした付喪神たちを古今東西のあらゆる時代や場所に送り届けています。また狭間の世界は骨董師ごとに空間の見た目が異なっており、生前馴染み深かった場所や風景がその空間に構築されています。

◆脅威の存在

 付喪神と骨董師の脅威となる存在がいます。
 それは骨董師が観測するあらゆる時の流れの中で人を殺める、
人でない悪しきものの存在です。この世界には数多くの生命体で溢れていますが、人の目に触れないものは互いにその隔たりを保って生活しています。その中で悪しき妖怪や悪神などは容赦なくその隔たりを超えて人間を襲うのです。ただし、これらは歴史が紡いできた数多の情報量によって、現れる時刻や月日をある程度予測することができるため、脅威ではあるもののさほど対処が難しいものではありません。

 より脅威と判断されるものは悪しき付喪神、通称
【虚ろ】です。本来付喪神となるはずが、何らかの良からぬ出来事によって人々に悪影響を及ぼすようになってしまった存在のことを言います。より脅威とされる所以は、それらが常に人間の身近に存在するものであるところにあります。

 虚ろの影響力は強く、瞬時に周囲の人間や環境を蝕んでいきます。極めて恐ろしい存在ですが、骨董師は付喪神という存在をとても大切に想っているが故に、人間同様虚ろも救うべき対象として認識しています。
 虚ろを浄化するには虚ろが背負った業を解き明かし、黒く染まってしまった負の感情を削らなければなりません。それは同じ付喪神にしかできない所業。骨董師と付喪神は結託し、互いの存在を守るために脅威へと立ち向かいます。

黒の背景
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