付喪神骨董協会に属していながら、どの管轄にも属さないという異例の骨董師。その才覚は中枢評議会にも相当するというのに、その席を拒んで独自にあらゆる時の流れを観測し、己に集う付喪神たちと様々な事件を解決している。年は30代くらいに見えるが不明で、生前についても幕末の陰陽師であったり、昭和の作家だったりと情報が無数に存在する。（その真相を知るのは塵塚怪王のみだろう）狭間の世界である貸本屋は所有する書籍の数が多く、書庫は迷宮化している。

　中枢評議会の骨董師の１人。常に冷静沈着で物事の対処に当たってきたことが評価され、中枢評議会に選出された。生前は、貿易によって財を成した中世ドイツの都市貴族。不運な死を遂げた貿易仲間から預かった遺品によって、自身も度重なる災難に遭うが、その原因が虚ろと化した遺品であることに気づき、たった一人で虚ろに立ち向かった。最期は家族や周囲の者たちを守るために虚ろと相対死している。現在その虚ろは凍結から再び神性を取り戻しているが、ウィリアムが苦手である。

　過去管理局で日本の観測を担当する骨董師の１人。生前はごく普通の高校に通う少々グレた不良学生だった。熱心な教師と出会い、日本史だけはまともに授業を受けるようになったが、虚ろが原因とされる事件に巻き込まれ、家族の中で唯一生き残ったものの昏睡状態となる。その後は教師が面倒を見ていたが、老衰時に医療費が途絶え、27歳で死亡とみなされた。骨董師となる際に過去の記憶はすべて消去されたが、日本史を愛する心だけは今でも消えずに残っている。好きな武将は長連龍。

　狭間の世界を持たず、各時代の世界を転々と行き来する骨董師。本来、骨董師が各時代の世界に訪れることは自身の存在が揺らぎ、存在し続けることができなくなるため協会から禁止されている行為だが、エンジュに限ってはどういうわけか問題なく存在し続けていることが判明している。彼女に寄生している仮面の付喪神（フュージョン）のおかげか、彼女自身が狭間の世界という位置づけなのか詳細は不明。各時代の虚ろに纏わる事件を解決しているが、現地の人々からはその存在が継続して記憶されない悲しい運命を背負っている。