たまたまシナリオデータの整理をしていたら、なんとCOCフリーシナリオ9作品の合計DL数が15000DLを突破していました!めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます!
せっかくなのでパワポ資料の練習がてらに、どのシナリオがどれくらい興味を持たれているのか?、DL数のグラフを作成してみました。今回はこの資料を元にお話していこうと思います。
こちらがフリーシナリオ(COCのみ抜粋)のDL数をまとめたグラフです。画像下部のコメントでも書いているのですが、2016年に公開した第一作目の霧に覆われた村がトップに躍り出ているので、基本的には公開した順にDL数も多いようです。しかしながら、九頭龍剣伝説とニコラ・テスラ暗殺計画はこの基本を覆すような結果となっています。
これはなぜか……?個人的な推測ですが、タイトルからモチーフにしているものが分かる+モチーフそのものにある程度の人気がある……ので目を引いたのではないか?と感じています。
タイトルでいうと九頭龍剣伝説は『刀剣』、ニコラ・テスラ暗殺計画は『ニコラ・テスラ』とハッキリしています。
そしてモチーフそのものにある程度の人気があるというのは『刀剣』ですと日本刀シナリオは公開当時、比較的人気のジャンルであったということ、『ニコラ・テスラ』に関してはクトゥルフTRPGユーザーの多くが遊ばれているFGOで認知されていることを指しており、それが結果的に目を引いたのではないかと考えています。
アプリゲームでも、神話生物が登場しているゲームをよく見ますが、それはそのゲームを遊んでいるユーザーにTRPGを知っている層が多いことが1つの理由なのかもしれません。
以上を踏まえると、シナリオコンセプトがハッキリしたタイトルの方がDL数が上がるよ!って結論になるのですが、シナリオの付け方にもいろいろあるので、作り手にとってはすごく悩みどころではあったりします。
個人的には、微笑みデブの「フルメタル・ジャケットだ」って言うタイミングとか髑髏城の七人の七人が誰なのか分かるタイミングとか……遊んでいる最中にタイトルを回収するシナリオの方が、主人公としての時間が進んでいる感じがあって好きなので、なかなかハッキリしたタイトルをつけるのは珍しいですね。
まぁ、シナリオの認知度を上げるか、シナリオの質を上げるかでタイトルを決める方向性が見えてくるかと思うので、ストックシナリオが少ない場合は認知度を取ればいいし、そこそこ遊んでくれる人が増えたらシナリオに沿ってタイトルを決めるのがいいんだと思います。……タイトル1つ決めるだけで、これだけ見方が変わってくるのも面白いですよね。
あと最近シナリオを作る上での自分の指針があったりするのでもう1つ、参考になるような資料を作りました。
今と4,5年前で好まれるシナリオのかたちが変わってきているのでそれを上記の画像にまとめました。あくまで私の推測なので、これが本当に正しいのかは分かりません。そこを踏まえて聞いていただければと思います。
最近のTRPGブームの火付け役となったのが2012~2013年にニコニコ動画にアップされていたクトゥルフTRPGのリプレイ動画なので、そこをスタートとすると8年間でユーザーのシナリオの傾向は大きく変わったように感じています。
何が変わったかと言うと、ユーザーが遊ぶゲームの選択の仕方が、シナリオ重視という考え方から時間(スケジュール)重視に変わったというところです。
その変化の原因はまさに2012年以降にTRPGで遊び始めた学生の多くが、この8年間で社会人となったことによるものでしょう。
リプレイ動画が流行ったあたりは、その動画の壮大さから自分も同じような大きな脅威と立ち向かいたい!と憧れる人が多かったように思います。私もそうでした。
ただ、旧支配者などの強敵が登場するとなると、尺的に1~2時間の短編シナリオではムードがなさすぎる&お膳立てが急すぎてしまうので、彼らが登場するに相応しい長編シナリオが多く存在していました。そして当時、時間にある程度融通の利く学生が多かったので、それらが上手くマッチして遊ばれていたように思います。
そして近年、学生だった人たちが社会人となり、時間が取りづらくなった結果、時間重視の短時間で遊べる短編シナリオやプレイ人数の少ないシナリオが好まれるようになりました。時間に制限されることは辛いことですが、それでもTRPGを趣味にしていきたいというところがよく分かるのでこれも新しい遊び方のかたちだと思います。
シナリオを制作していると『自分はこういうものを作りたい!』という気持ちが高まるものですが、同時に『作りたいものはユーザーが遊んでくれそうなものになっているか?』と自問自答することもあるので、個人的にこういった推測を立てた上でニーズに沿った作り方をしています。
最近ですと、COCではないですがマーダーミステリーの『モンスターズハロウィンナイト』がそうでした。こちらは最近広まってきた新しいゲームですので、つまりは初めて遊ぶ人が多いだろうと推測し、初心者に向けた敷居の低いゲームをコンセプトに、キャラクターもストーリーもできるだけ分かりやすく簡単な内容に仕立てています。
私は少なからず疑心暗示になる人狼系のゲームが好きではないのですが、マーダーミステリーはまだ推理重視というところで、これを機会に犯人探しで疑心暗鬼になる人狼的なところを上手い具合に緩和する方法を探そうと思い、結果的にストーリーのエンディングでプレイヤー全員のメンタルをケアする流れを作ることで解決しました。
(マーダーミステリーのゲームシステムについてはまだまだ言いたいことはありますがこの辺に留めておこうと思います)
こんな感じで、私以外が作ったシナリオでも、ニーズや流行などいろいろ考えて作られているシナリオはたくさんあると思います。遊びながらそれが分かるようなシナリオであれば、そのシナリオは良いシナリオだと思いますし、そう感じられるプレイヤーのあなたも感受性豊かであると思います。
長々と書きましたが、シナリオの傾向の変化についてはまたここから4,5年でどう変わるか楽しみですね。そしてCOCのフリーシナリオ15000DL突破、本当にありがとうございました。これからも楽しいシナリオを用意していく所存ですので何卒よろしくお願いいたします。それではまた。
(博士の助手)
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